今回は定年時点で生まれる「同窓会ブーム」にちなんだ話をしましたが、同窓会や同期会の誘いは、すでに多くなりつつあるのではないでしょうか?また、そうした会合でなくても飲み会は多いはず。そんな時にただ懐古趣味に陥り、目の前の人生から逃げるのではなく、皆で前向きになれるような手立ては今から必要なのではないでしょうか。

いくつになっても
恩師は有難いもの

 最後に配慮に関して、私の恥を1つお話ししましょう。

 7~8年前の話ですが、何十年かぶりに中学時代の同窓会がありました。同窓の生徒に交じって、当時とても怖かった社会科の先生がいらしていました。もっとも、40年ぶりに再会した先生はにこやかな好々爺になっていました。

 当時の私はテレビに頻繁に出ていたこともあり、少し舞い上がっていたのかもしれません。酒の酔いもあって、こんなことを言っていました。

「しかし、こうした集まりに来ない連中の気がしれないな。皆、何があっても来るべきだよな」

 すると、それまでニコニコと皆の話を聞いていた先生が、一瞬のうちに昔の厳しい表情に戻ったのです。

「野田君、君は大手を振って来られるかもしれない。しかし、中には来たくても来られない人、来たくない人もいるんだ。君はそういう人間のことを考えなくてはいけない」

 声は穏やかでしたが凛としたとても厳しい口調でした。

 いくつになっても恩師というものは有難いものだと思いました。今でも昨日のことのように思い出します。私だけでなく、皆が、有難いという想いで厳粛に聞き入っていました。

 小さな声で「すみません」と謝ると、優しい顔に戻ってこう告げました。

「いや、僕に謝るのではなく、その人たちにな」

 いくつになっても同窓会に元気に出ていけるように頑張ろうと思ったものです。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)