>>(上)より続く
肺がんは診断時の「ステージ」で
明暗が大きく分かれる
国際的に見て日本の肺がんの治療成績は良好だとはいっても、5年相対生存率は30%程度に過ぎません。全てのがんの5年相対生存率は70%弱であることと比較すると、その難治性は明らかです。
しかし、男女合わせた死亡者数ががんの中で最も多い肺がんも、早期のステージ1で発見され、治療に進むことができれば、5年相対生存率は80%に及びます。しかし、ステージ2、3、4と進行度が進めばその5年相対生存率はそれぞれ50%、20%、5%へと激減していきます。
肺がんのうち、ステージ1で発見されるのは全体の約40%、同じくステージ2、3、4は8%、15%、32%。すなわち、肺がんはステージ1という早期で発見されるよりも、生存率の低いステージ3ないしは4となって初めて発見されることの方が多いのです。
繰り返しになりますが、肺がんの40%(ステージ1)は5年相対生存率が80%、同じく50%弱(ステージ3、4)が5年相対生存率20%以下です。すなわち肺がんでの生存率は、診断時のステージによって両極端に二分され、明暗が大きく分かれます。肺がんの治療成績を“all or nothing”と表現した外科医もいるほどです。
ステージ1で発見して死亡率を下げるには
胸部X線検査では不十分?
肺がんのステージは、他のがんと同様に、病巣の大きさと周囲への浸潤の程度、リンパ節転移、遠隔転移で決められます。ステージ1で診断されるには、腫瘍の大きさが2~3cm以下で、どこにも転移がないことが条件となります。