CT検査
CT検査は肺がんの早期発見には有用なものです(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 肺がんの診断を目的としたCT検査は、その被ばくの問題から避けるべきという意見と、早期発見のためには積極的に実施すべきだという意見の両方があります。

 日本は原子力爆弾による被ばくや原発事故など、深刻な放射線被害を過去に経験してきました。そのような背景がありながら、国民の医療被ばくが他の先進国に比べて多いことがしばしば問題視されます。その主たる原因として、診断を目的としたCT検査の普及が考えられます。そして近年、CTスキャンによる低線量電離放射線による発がんリスクが指摘されています。

 一方、肺がんは難治性で、がんの中で死亡率が最大です。では、その早期発見に有用とされるCT検査を、被ばくリスクがあるという理由で、本当に回避すべきなのでしょうか。

肺がんは生存率の低い難治性がん
死亡者数は全てのがんの中でトップ

 国立がん研究センターの最新がん統計によると、直近のデータである2016年のがん死亡数は7万3838人と、肺がんが全てのがんの中で最も多くなっています(男女合計)。特に男性では、肺がんの死亡率が目立って高く、人口10万人あたり86.1人で、2位の胃がん49人、大腸がん44.4人と比較して突出している状況です。

 同じく、国立がん研究センターの統計によると、一生涯の中で、がんで死亡する確率は男性25%、女性16%で、肺がんに限ると男性は6%、女性は2%。男性は実に17人に1人が肺がんで亡くなる計算です。

 がんがどれだけ生命を脅かす存在かを示す主な指標として生存率があります。がんが発見されて治療を受けた後、5年間再発せずに生命が維持されると、多くのがんでは根治したと見なされます。よって、5年生存率(がん以外の死因の影響を除外した5年相対生存率が特に用いられる)が統計上しばしば用いられます。肺がんの5年相対生存率は30%程度、全てのがんの5年相対生存率は70%弱であることを考えると、肺がんは生存率の低い難治性のがんとなります。

 肺がんを乗り切るためには、早期発見をすることに尽きるといっていいでしょう。そのためには、胸部X線検査よりCT検査の方が圧倒的に有用だというのはよく知られているとおりです。では、肺がん検診にCT検査を導入すればいいかというと、話は単純ではありません。CT検査による放射線被ばくがしばしば問題視されるからです。

 一方で、肺がんを早期発見することにより得られる利益が、検査で被る放射線被ばくの不利益よりも圧倒的に大きいという見方もあります。そのため、肺がんを早期発見するためにCT検査をどのように応用すべきかについては、医師の中でも意見が分かれています。