また、日本シリーズでは右ヒジの違和感のため第1戦でのリリーフ登板にとどまったが、レギュラーシーズンでは13勝をあげた石川柊太(27)、中継ぎとして35試合に登板した二保旭(28)も育成組。野手では59試合に出場し3割超の高打率を残した牧原大成(26)もいる。他にも育成から支配下登録を勝ち取った選手はいて、今季の開幕時点でのソフトバンクの支配下登録選手67人中9人が育成組だった。

 同じ新人でも、ドラフト指名を勝ち取ってプロ入りした選手と育成ドラフト組では待遇面が大きく異なる。ドラフト上位指名を受けた者は数千万円から1億円もの契約金が入るうえ、1年目の年俸も1000万円超というケースが多い。だが、育成ドラフトの選手は契約時に300万円程度の支度金が支払われるだけだし、年俸も最低保証額の240万円以上、250~300万円程度がほとんどだ。プロはいつ戦力外と見なされ解雇されるか分らない厳しい世界だから契約金は退職金と考えるべきだと言われるが、この金額ではそれも無理だ。

 育成ドラフトの選手は何の保証もない中、自分の才能を信じ、球団との契約が続いている期間になんとか実力を上げて支配下登録を勝ち取り、プロとして活躍することを夢見ているハングリーな者たちなのだ。

 ソフトバンクは12球団の中でもとくにそういう選手が多い。しかも千賀や甲斐のような日本を代表する実力者を輩出しているのだ。

 育成選手制度は2005年にNPBで認められ、この年のドラフトから採用された。ソフトバンクは当初からこの制度の活用に熱心な球団で、第1回育成ドラフトの翌年には早くも支配下登録第1号を出している。また、その後の13年間で育成ドラフトから支配下登録された人数は巨人の22人に次ぐ19人にのぼる。他はロッテが10人、楽天、DeNA,、中日が9人、広島7人、オリックス、ヤクルトが6人、阪神5人、西武4人だから、巨人とソフトバンクが明らかに多いことが分かる。そういえば巨人も松本哲也氏(17年で引退、現巨人3軍コーチ)、山口鉄也氏(今季で引退)など育成から育った名選手が数多くいる。

 なお日本ハムは育成ドラフトで育成選手を獲得したことは一度もない。ドラフト指名した選手を育てればいいという考えなのだろう。実際、ドラフト戦略が巧みで指名した選手の多くが活躍している。

 現在の育成選手の数もソフトバンクと巨人は他を圧倒している。今春の開幕時点だが、ともに25人が在籍していた。他球団は多くても10人程度だから、育成選手制度の活用に力を入れていることが分かる。