1日の仕事を終えて家に帰っても、何もやる気が起きず、そのまま寝て次の朝を迎える…。いつの間にか、そんなルーティンが当たり前になってはいないだろうか。「寝る前の時間は、最も無駄にできない」と語るのは、NASDAQに上場している外資系IT企業「ライブパーソン(LivePerson)」の日本法人代表として働く傍ら、多数のビジネス書籍を出版する金田博之氏。寝る前の過ごし方次第では、仕事で酷使した脳を休めるとともに、次の日にスッキリ目覚めて新しい気持ちで仕事に取り組むことができるのだという。その秘訣を金田氏に聞いた。(清談社 島野美穂)
寝る前に情報をインプットして
睡眠中に記憶を整理する
人間が1日に必要な睡眠時間は、平均7~8時間といわれている。実に1日の3分の1を眠って過ごしているのだ。多忙な時期はどうしても睡眠時間を削ってしまいがちだが、実のところ、仕事がデキる人ほどよく寝ているという。たとえ睡眠時間が短い日だろうと、良質な睡眠に対する意識は高いのだ。
「専門家ではないので、あくまで私見にはなりますが、寝る直前に考えたことは睡眠の質を大きく左右するそうです。1日の終わりにSNSで交流したり、のんびりとテレビを見るのもいいとは思いますが、いい眠りにつくためには、楽しかったことやうれしかったことを眠る直前に思い浮かべるのが最も効果的。心がリラックスするので、気持ちよく眠れるようになるんですよ」
反対にネガティブなことを思い出しながら寝ると、寝付きが悪くなるだけでなく、起床後のメンタリティにも影響してくる。前夜のネガティブな気持ちが、起きてからも続いてしまうためだ。
「思い出したくなるようなうれしい出来事が1つもない日だって、当然ありますよね。そんなときは、自分が楽しいと思う情報に触れることで、脳に喜びを提供してあげましょう。情報源は、本、雑誌、オンラインメディア、なんでもOKです」
このとき心がけるべきは、内容と量。仕事に関連した情報でもいいのだが、スキルを上げようと無理に難解な専門書を読んでも、かえって心身を疲れさせるだけ。『いい眠りについて、明日また頑張る』という目的を達成したいのであれば、寝る前はいったん、難しいテーマからは離れてしまった方がいい。その方が結果的に勉強の継続率も高まるのだ。
「また、どれだけいいイメージを脳に与えるにしても、膨大な量をインプットするのは避けた方がいいです。量が多すぎると、脳の整理が追いつかなくなります」
金田氏いわく、インプットはリラックスしている時の方が、頭の中に入りやすいという。オススメは、お風呂の中だ。
「お風呂の中はとくにリラックスできるので、私はよく湯船に漬かりながらのんびりと読書や考え事をします。難しいことは排除して、自分が楽しいと思えることや、理想についてだけを考えるようにしています。考え方を癖付けることも大事かもしれませんね」
湯船に漬かって体の疲れを取りながら、良質なインプットもできるとなれば、一石二鳥だ。