超高齢社会の日本では、2065年には約3.9人に1人が75歳以上になるという。そんな日本の姿を反映するように、公共図書館には高齢者の姿が目立つようになり、今までなら考えられないようなトラブルが起こっている。
公共図書館は
終日無料の高齢者施設?
今年6月に内閣府が発表した「平成30年版高齢社会白書」によると、2016年の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年で、総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は27.7%だった。全人口のうち、65歳以上の割合が21%を超えると超高齢社会と呼ぶが、日本は2010年に、すでにその段階に突入。現在は、世界で一番高齢化率の高い国である。
そんな現実をリアルに感じる場所はある。高齢者の利用者が増加している公共図書館だ。10月30日から11月1日にかけてパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された、第20回図書館総合展のフォーラムの1つ、「人生100年時代 図書館でどう学び続けるか?」(主催:図書館振興財団)では、増える高齢者と図書館の関係を掘り下げた講演会が行われ、会場にはたくさんの関係者が訪れた。
公共図書館は新聞や雑誌が読み放題である。また、最近は建物も著名な建築家の設計でおしゃれになり、カフェスペースも充実するなど、居心地がよくなっている。そして、いつでも何時間でも滞在することができるし、何よりも無料と、年金暮らしの高齢者にはありがたい。
神奈川県に住むAさん(70歳)は、特に予定のない日は、図書館に行くそうだ。図書館では新聞や本を読み、時には図書館のイベントにも参加する。以前はパチンコに通っていたが、お金は使うし、家族からは「他に何かすることはないの?」とウケも悪い。図書館であれば、逆に「お父さん、今日は行かないの?」と家族の方から送り出されるという。
公共図書館はAさんのような「高齢者のための施設」となりつつあるのだが、そこにはさまざまな問題も出始めている。