週刊ダイヤモンド2018年11月10日号は「変われぬ東芝 変わる日立」です。本誌では、両社の創業期まで遡り、どのような浮き沈みの末に現在の差に結びついたのかを明らかにしています。週刊ダイヤモンド編集部では、歴代の担当記者が両社の経営戦略や業績を取材してきました。そこで、今週の特集に合わせて、両社において「中年期」と位置付けられる2000年代中頃以降に社長に君臨したトップのインタビューをシリーズでお届けします。第2回は週刊ダイヤモンド2009年9月12日号「編集長インタビュー」で掲載した、佐々木則夫氏のインタビューです。同氏は西田厚聰氏(シリーズ第1回)の後、2009年から2013年まで社長を務めました。(経歴、年齢は全て掲載当時のもの)
──業績不振真っただ中での社長交代でしたね。どんな気持ちで引き受けたのですか。
正式に言われたのが、3月3日でした。ただ、昨年の12月に西田から「交代するとしたら、次はおまえだ」と言われてましたから、それなりの覚悟と準備はできていました。
6月に実施した5000億円増資によって、自己資本比率は13%台まで回復しました。今年度末には20%に戻し、2009~11年度の中期経営計画の期中に25%にもっていきたい。われわれのような事業体では、30%ぐらいが適当かと思っています。そこを目指して、事業の選択と集中、重点投資を進めます。
──となると、当面は設備投資を抑制せざるをえません。
直近の過去3年と比べるとやむをえません。ただし中計期間の3ヵ年で1兆1000億円投資する計画です。これは売上高比5%で、まあまあの水準だと思う。一方で、投資額は収益や景気などいろいろな要素の“関数”なので、1兆1000億円が絶対の上限でもありません。