『週刊ダイヤモンド』11月10日号の第1特集は「変われぬ東芝 変わる日立」です。かつてライバルとされた東芝と日立製作所の格差が拡大しています。リーマンショック後、収益力を着実に高めた日立に対し、不正会計に揺れた東芝の利益率は低空飛行を続けています。東芝は三井住友銀行出身の新CEOの下で再建を目指しますが、長年染み付いた企業文化を変えるのは簡単ではなさそうです。特集では、日本を代表するメーカーである両社の差がなぜ開いたのか、両社が生き残っていくための課題とは何かに、独自の取材で迫りました。

赤い半導体が狙う
東芝技術者の闇

東芝の半導体部門が入る川崎東芝ビル
東芝の半導体部門が入る川崎東芝ビル Photo by Hirobumi Senbongi

 東芝の“企業城下町”といってもいい神奈川県川崎市――。「小向東芝町」という町名が存在するほど、歴史的に東芝と密接な関係を持っている街だ。

 JR川崎駅を出てまず目に飛び込んでくるのが、東芝の工場を再開発した複合施設、ラゾーナ川崎プラザだ。野外コンサートやビアガーデンといった催しが行われる広場があり、多くの人で賑わう。

 その広場を見下ろすように、東芝が入居するオフィスビルがそびえる。これは筆者の色眼鏡かもしれないが、イベントで盛り上がる広場を横目に帰宅する東芝社員の顔色は冴えない。そのコントラストが印象に残っている。

 その場所からJR線路を挟んで反対側に東芝関係者が警戒する会社がある。

 社名は「JYMテクノロジー」。中国の半導体メーカー、清華紫光集団傘下でNAND型フラッシュメモリを製造するYMTCの子会社だ。同社は東芝などからの技術者を引き抜く拠点となっている。

 JYMテクノロジー幹部は「メモリの製造プロセス改善には日本人の地道なやり方が向いている。給料は業界で一番。韓国サムスン電子より高いよ」と話す。