週刊ダイヤモンド2018年11月10日号は「変われぬ東芝 変わる日立」です。かつてはライバルと言われた両社でしたが、今では収益力、時価総額、経営体制など大きな格差があります。本特集ではその格差を創業期まで遡って原因を追求しました。本誌で掲載した両社比較の記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。
東芝と日立製作所の社風は正反対といっていいほどに違う。その違いは、両社の成り立ちを考えると理解しやすい。
東芝は創業時より三井財閥から資本、米国の名門ゼネラル・エレクトリック(GE)から技術の支援を受けて育った。初めて工場を建設した場所は何と東京・銀座だ。「働く環境が悪ければいい知恵も出ない」という米国流の合理主義が根付き、貫かれていた。
他方、日立の創業時の小屋はお世辞にも立派とはいえない(上図・右下写真)。1961年の本誌には、こんな記述がある。「日立は日本一のマンモス企業となったいまも新丸ビルの一角にビル住まいしているが、驚いたことに、このオフィスには冷房がない。それに狭く、どの部屋も机でいっぱいだ」。
描写から、日立のハングリー精神と汗臭さが伝わってくる。