与野党の駆け引き材料にされた
国鉄運賃の不幸な過去

 北海道新幹線開業前のデータになるが、2015年度の国土交通省鉄道統計によると、JR北海道の輸送人員は定期利用者・定期外利用者合わせて年間1億3400万人。うち定期利用者は約42%だった。

 通勤・通学の定期利用者と、特急など長距離利用を含む定期外利用者は平均利用距離が異なることを考慮し、利用者数と利用距離を掛け合わせた「人キロ」という単位で比較しても、定期利用の比率は約34%と全体の3分の1を占める。

 ところが収入の割合で見ると、定期利用者はわずか17%、定期外収入のうち特急券や指定席券など料金収入を除いて比較しても、定期利用者の割合は21%にとどまる。これは、もともと定期利用者を主とする都市圏の利用者負担が少なすぎたことを意味する。

 国鉄破綻の要因の1つに、運賃政策の失敗が指摘されている。国鉄の運賃は国鉄運賃法という法律によって定められていたが、政府は物価対策として公共料金、特に国鉄運賃の値上げに消極的な姿勢をとってきた。与野党の政治的取引の材料に用いられることもしばしばで、物価上昇に見合った適切な運賃改定を行うことができず、経営悪化を後押ししてしまった。

 いよいよ経営に行き詰まった国鉄は1970年代、今度は短期間のうちに大幅な値上げを繰り返し、客離れを招くという悪循環に陥り、崩壊へと突き進んでいった。民営化後も似たようなことを繰り返しているというわけだが、せめて2度目の崩壊は防ぎたい。

 現状のこんがらがった状況を一歩でも前に進めるためには、国と自治体はJR北海道の経営責任と努力を追求するだけに終わらず、今後の地域交通の負担の在り方について根本から話し合わなくてはならない。

 遠回りに見えるかもしれないが、出発点から考え直さない限り、第2、第3の「JR北海道」の出現を防ぐことはできないだろう。