三井生命保険が来年4月に、社名を変更する。年内にも新社名を正式決定するが、90年以上にわたって守り抜いてきた「三井」の名称が、ついに外れることになる。
「え、本当ですか」。10月末、三井生命が社員に対して社名変更について説明したことを聞いたOBたちは、一様にショックを隠せない様子だった。
三井グループは、“三大財閥”の三菱や住友に比べ、グループとしての結束力はそれほど強くないとされるものの、社員やOBたちにとって三井であることの矜持、思い入れは想像する以上に強かったようだ。
そもそも三井生命が、業界最大手の日本生命保険の傘下に入ることが決まったのは、2015年9月のこと。翌春には三井グループの社長会である「二木会」を退会したものの、社名はそのままだった。それから2年以上も経った今になって、なぜ社名変更の決断に至ったのか。
理由を探る中で見えてくるのは、三井グループの厳格な商号・商標管理の歴史だ。