大塚家具の店舗売上高が10月、15ヵ月ぶりに前年を上回った。最大8割引きの“出血”セールが功を奏した形だが、抜本的な収益改善には至っていない。そんな中、支援者としてある中国企業が浮上している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史、松本裕樹)
11月最初の週末。東京都江東区の大塚家具有明本社ショールームは若い家族連れや高齢の夫婦らでにぎわっていた。
4万5000点以上のアイテムをそろえ、家具・インテリアの専門店として日本最大級の売り場面積を誇る巨大なショールームを、スタッフが忙しそうに動き回る。「土日は社員総出で対応しています。お客さまのセールへの関心は高いですね」。応対した社員の一人はそう話した。
「セール」とは、大塚家具が全国12店舗で9月下旬に始めた、最大8割引きの「在庫一掃セール」のこと。例えば税込み115万円の本革アームチェアは46万円に、30万円超のダイニングボードが15万円にといった具合に大幅値下げを実施している。これほど値引きして果たして利益が出るのか疑問だが、同社幹部は「2018年12月期中間決算で商品の評価基準を見直し、棚卸し資産評価損を計上した。目玉商品は別として大半は利益が出ている」と胸を張る。
いずれにせよ消費者とすれば、これまで手が出なかった高級家具を破格の値段で入手できるチャンスとなる。来店客は増え、昨年8月から店舗売上高の前年同月割れが続いたが、10月は15ヵ月ぶりに前年同月比7.7%の増加に好転。セールは当初10月28日までの予定だったが、好調につき今月25日まで延長した。