大塚 なぜかというと、便利さを奪ってしまいましたから。会計士は自由に仕事をするのが好きなんですね。自分の仕事の仕方に裁量があることに魅力を感じる人もいます。

 いまだに反発している人がいるかもしれないですけど、「こういう環境なんだから、この中で考えていこうか」という前向きな風潮も見え始めてきました。

小室 制約条件の中でイノベーションしていくということですね。

大塚 歴史を振り返っていても、明治の文明開化などはそれに近いものがあったように思います。みんな納得した上で西洋化したわけじゃなくて、「とにかくやろうぜ」と言って取り組んだ側面もあるわけです。

働き方改革の真の目的は
時間を削ることではない

小室 反発の声としては、どのようなものがありましたか。

大塚 「仕事が終わらない」「人が育たない」「このままいったら事務所は崩壊してしまう」

小室 結構ハードなコメントの数々ですね。

大塚 時間を削ることが我々の目的だと誤解しているから、出てくるコメントなんです。でも、我々の真の目的は時間を削ることじゃなくて、個人が成長して、個人の品質を高めて、法人の品質アップにつなげること。

小室 むしろ成長のために取り組んでいるわけですね。

大塚 「限られた時間でやりなさい」というのは、「効率化をしよう」ということだけじゃない。もちろんムダを省く効率化は必要ですが、我々が期待しているのは知恵を絞りより効果的な手続きを考えること。ただ去年と同じやり方を踏襲するのではなく、真の目的を考え、目的を達成するために最短距離で最大効果を出す方法を考えよう、ということなんです。

 去年と同じやり方を続けるだけなら、効率性を追求するしか方法がない。でも効率性の追求にはいつか限界が来ます。