小室 効率性だけでなく、効果的な手続きを自分の頭で考えなければならない。

大塚 また、「仕事の時間が減ると人が育たない」というのは、経験する時間がなくなることに対する危機感です。でも人は、経験する機会の多さに比例して成長できるわけではありません。インプットも必要ですし、インプットしたものを実践する力も必要です。

 そして「人材育成の時間が取れない」というのは、実は「取れない」ではなく「取らない」であることが多いんです。仕事に優先順位をつけることが大切だと言っているのに、なぜか人材育成の時間の優先順位が低くなっています。

小室 確かに!人材育成の時間を一番後回しにしていて「時間が取れたらやろう」となっているのだから、優先順位付けの問題なんですね。そうした反発の声に対して、どのように説得されたのでしょうか。

大塚 これは丁寧に繰り返すしかありません。最初だけではなく、トップが定期的にメッセージを流す。それを受けた事業部やそれぞれの監査チームで「それは誤解ですよ」というメッセージを流していく。

 いまだに誤解している人もいるでしょうけど、1年前に比べたら理解する人も増えています。まだ道半ばなので、やっぱり継続することが大事ですね。

一部の事業所で始めた
取り組みを全社的に展開

小室 御社の場合、一部の事業部から始めて、全社的に取り組みを広げたというところが特徴的だったと思います。私たちに当初コンサルをご依頼いただいた際は、東京第4、第5、アカウンティング アドバイザリー サービス部だけの取組みでしたね。これはどういった戦略があったのですか。

大塚 監査法人というのは、人がものすごく多いんです。東京の場合、事業部は9つ、大阪は3つで名古屋は1つ。いきなり全面展開するのは、なかなか難しい。なので、一事業部を選んでトライアルで取り組む手法をとりました。