夏の終わり頃、米バージニア州北部の当局者はアマゾン・ドット・コムが「HQ2」と呼ばれる第2本社を二つの都市に分割する考えだとのうわさを耳にして驚いた。当局者らは同州アーリントン郡クリスタルシティが、5万人の雇用と数十億ドルの投資をもたらすこの巨額開発案件を手にすると自信を深めていたからだ。その数週間前には、現地を訪問したアマゾンの選定チームに好印象を与えており、共にビールを飲むなど和やかな雰囲気で会合を終えていた。そこに突然、変化球が投げ込まれた。アマゾンが電話で第2本社の分割を確認したのだ。バージニア州北部も他の候補地も全く気付いていなかったが、関係者によるとアマゾン幹部はその数カ月も前から、同社の見込む成長を支えるだけのハイテク人材を1つの都市でまかなうことは不可能だと認識し始めていた。アマゾンは9月、第2本社の分割を決めた。
アマゾン第2本社「狂想曲」、決定までの舞台裏
誘致に負けた自治体にとっては、恋い焦がれた相手に「振られた」格好となった
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