「急増する米国の『レバレッジド・ローン』が抱えるリスクに、あまり注意が払われていないように映る」。UBS証券ウェルス・マネジメント本部のCIO(最高投資責任者)、青木大樹氏は警戒感を示す。
日本株の動向にも多大な影響を与える米株式市場において、このところは米中貿易戦争や大手ハイテク株の動きなどが耳目を集めてきた。だが、ともすればそうした陰に隠れた潜在的なリスクとして、冒頭の実態を認識しておくべきではないか、というわけだ。
レバレッジド・ローンは信用度の低い企業への融資。変動金利であることや、財務状況が一定基準より悪化した場合に、債務の返済を求めることができる財務制限条項が付いている点などがハイイールド(低格付け)債と異なる。
実は同ローンについては、BIS(国際決済銀行)が9月公表の直近の四半期報告書の中で「危険な復活?」と題して分析を展開。好調を保つ米景気が後退期に入れば、ローンの借り手である企業のデフォルト(債務不履行)増加などで「投資家は損失を被ることになるだろう」と指摘した。