社長の突然の訪問に従業員は、一様に驚いた様子だった。たまたま四ツ谷課長は外出中だったため、課長の情報を聞き出すチャンスと思った社長は、支店にいた従業員全員に四ツ谷課長と三田支店長の様子を聞いた。すると思った通り、四ツ谷課長が三田支店長に対して、怒鳴ったり、暴言を吐いていたりしている証言があった。

 また、従業員も「三田支店長と話をすると、四ツ谷課長から嫌がらせを受けるので、できるだけ話をしないようにしていた」と明かしてくれた。

 調査を終えるちょうどその頃、四ツ谷課長が戻ってきた。丸山社長は四ツ谷課長を休憩室に呼び出すと、早速話を切り出した。

「四ツ谷課長、三田支店長とはあまり上手くいっていないと聞いたが、どうなんだ?」
「支店長は屁理屈ばかり言ってくるので正直やりにくくて…」
「君が支店長からの指示を拒否したり、全員で支店長を無視するように指示をしたと聞いたんだが、事実かね?」

「指示が間違っている時は、当然拒否しますよ。支店長に人望がないからみんなが無視するんじゃないですか?」とへらへらしている。さらに四ツ谷課長は言う。

「支店長が社長に告げ口したんですか?いい大人がイジメられたと言いつけるなんて、情けないですね、親の顔を見てみたいですよ」

 丸山社長は甥っ子をバカにされ、カッとなりかけたが、怒りを抑えて四ツ谷課長に言った。

「組織として、上司の指示に従うのは当然だ。気に入らないからといって無視するなんて、大人として常識がない。これはパワハラだ」

「えっ?部下の私から上司へのパワハラなんてないですよ」と四ツ谷課長はとぼけた。

 頭にきた丸山社長は、「従業員の証言もある。とにかく、嫌がらせは事実のようだから、今後の対応を検討する」と言ってF支店を後にした。

課長の行動を把握
本人に突き付けた証拠

 数日後、本社の従業員が丸山社長に調査報告をしてきた。その従業員は数日間にわたって四ツ谷課長の担当先に電話で確認したところ、ほとんどの会社から「ここ最近は直接会っていませんよ」と言われたため、「日報にあった直行直帰はウソで、直行は単なる遅刻のようです」と告げた。

 また従業員はその間に四ツ谷課長のフェイスブックを見つけていた。取引先接待として領収書を切った日、「〇〇ちゃんと同伴でお寿司です!」というタイトルで、顔を隠したホステスと思われる女性と一緒に撮った写真を投稿していた内容を社長に見せた。