アリババは
成長軌道を実現できるか?

 今後、アリババの成長スピードは鈍化する恐れがある。トランプ政権のこれまでの姿勢を見る限り、米中の関係は一段と冷え込む可能性がある。それは、中国企業が米国のテクノロジーにアクセスすることを難しくするだろう。

 独身の日の売り上げの詳細をみると、売り上げの4割以上がアップルやダイソンなど海外のブランドだった。また、1億元(約16億円)以上の売り上げを達成したブランドの多くが、米国を中心とする海外のものだった。米中の関係がこじれるにつれ、中国の消費者が米国の製品を手に入れることは難しくなるだろう。

 独身の日の売り上げの中でも、アップルの製品はトップクラスの人気を誇ったようだ。ただ、この展開が今後も続くとは言いづらい。なぜなら、アップルの新型iPhoneに関しては想定されたよりも需要が弱いとの見方が増えているからだ。すでに、iPhoneの部品メーカーなどがアップルからの減産要請を受けたとの報道がなされている。それを受け、今後の業績懸念からアップルの株価は下落した。

 アップルとともに独身の日の売り上げ上位にランクインした中国のスマートフォンメーカーであるシャオミ(小米)に関しても、純国産のデバイスを生産することはできていないようだ。まだ、米国などで作られた部品は必要だ。中国政府は半導体などの生産能力の増強を目指しているが、短期間ですべてのIT関連の部品を国産化するのは容易なことではない。アリババだけでなく、中国IT先端企業の業績懸念は高まる可能性がある。

 このように考えると、中国経済の先行き不透明感は高まりやすい。年内は米国の年末商戦が追い風となり6%台の成長を維持することは可能だろう。ただ、来年以降の中国経済の動向はかなり不透明だ。来年の独身の日のイベントが、今年以上の盛況になるとは言いづらい。先行きを楽観することが難しくなっている中、今回の独身の日の盛況ぶりは、マー氏退任への“はなむけ”というにふさわしいとの印象が残った。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)