レビュー
毎年11月11日の「独身の日」に中国で行われる大規模セール。中国のネット通販大手アリババがこの日に売り上げる数字が、大きな電光掲示板のうえで踊り狂っている。それはもの凄い勢いではね上がり、一向にとどまる気配を見せない。小売業者たちの心中を察して余りある。
またネット通販の代名詞アマゾンの快進撃に、撤退を余儀なくされた店舗も1つや2つではない。アマゾンは消費者がかつて店頭でしていた判断プロセスを、完全に消滅させてしまう勢いだ。しかも彼らは「ダッシュボタン」という小さなWi-Fi接続端末を通して、わたしたちの家庭にすら侵入しはじめている。このように圧倒的成長を見せつけるネット通販に、小売業者が立ち向かう術はないのだろうか。
もしあなたが小売の未来を思って青息吐息の状態なら、本書『小売再生』が天の助けとなるだろう。著者のいうように、残念ながら従来のかたちの小売が破滅への道をたどっているのは間違いない。しかし小売そのものが死ぬことは決してない。