米メリーランド州ボルティモア在住のアラン・J・フィンクさん(64)は週に2、3回、母親の切実な声に耳を傾ける。一緒に外出できる仲の良い友人がほしいというのだ。88歳になる母親にも、フィンクさん自身にとってもそれが目下の悩みだ。「20年後、母と同じ立場になりたくない」。フィンクさんはそう話し、もっと交友関係を広げるべきではないかと焦っている。「そうすれば、いずれお互いの存在が必要になったとき、いつでも連絡を取り合えるから」医学的・心理学的・社会的な観点から、年を取るほど幸福には友人が不可欠なことを示す調査結果が増えている。一方、多くの人は年齢を重ねると交友関係を保ち続けるのが難しいと感じる。「意図的に友人を顧みないわけではない」。友人関係や社会に役立つ技術革新について調査する豪企業、ヒンターランド・イノベーションのライアン・ハバード社長はこう指摘。友人を失うのは大抵の場合、人生が複雑さを増すためだと同氏は言う。