Photo:SANKEI
昨年、サントリーホールディングスで10年ぶりに創業家出身者がトップに就任する“大政奉還”があった。創業120年超の歴史を誇る日本屈指の同族企業、サントリーの足跡をダイヤモンドの厳選記事を基にひもといていく。連載『ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」1992年4月4日号の記事「サントリーの洋酒部門 8年ぶりの増収で国産ウイスキー復権の兆し?」を紹介する。89年の酒税法改正後にジリ貧が続いていた国産ウイスキーの消費量は下げ止まり、サントリーの洋酒部門は8年ぶりに増収に転じた。国産ウイスキーの復権に向け、サントリーの佐治敬三会長は「ウイスキー業界もメーカー同士の健全な競争が必要」と指摘していた。発言の真意とは。(ダイヤモンド編集部)
酒税法改正で打撃のサントリー
ウイスキーに復権の兆し
ウイスキー市場の動きがいつになく活発だ。
サントリーは、1992年3月17日からウイスキー“白角”の720ミリリットル1980円と50ミリリットル240円を家庭用市場に向けて全国発売。4月15日までの期間、この“白角”またはウイスキー“角瓶”を買った人に対し、甲斐駒ケ岳の麓からくみ出した清冽な水1缶490ミリリットル(非売品)をプレゼントしている。
さらに、“白角”が出足好調なので、4月2日から500ミリリットルサイズ1500円“白角500”を新発売する。
91年には、お中元期に木桶仕込み(5000円)、お歳暮期に古樽仕上げ(5000円)をギフト専用のウイスキーとして発売してよく売れた。また、若い人向けに“スモーキー&カンパニー”(2800円)を発売している。
一方、ニッカウヰスキーでは、サントリーに先駆けて紙パック入りの“ハイパック”(3400円、1800円)を発売、サントリーの出方を待ちわびているところだ。
こうした動きは、とかくビールに向いている消費者やマスコミの関心をウイスキーに引き戻そうというものである。
ウイスキー市場が打撃を受けたのは、89年の酒税法改正によって等級が廃止され、それまで数量ベースで、ウイスキー市場の50%を占めていた2級ウイスキーが、増税によって900円から1450円に大幅に値上げされたことであった。結果として、特にビールによって家庭用市場が侵食され、ウイスキー自身はじり貧状態となった。
国産ウイスキー(ブランデー含む)の総需要は、84年の37万5622キロリットルをピークに減少を続け、89年には前年に比べ14.6%減、90年には18.4%減であった。
ところが、91年には5.9%減と減少幅が小さくなり、いよいよ需要は底を打ち、復権の兆しが見えてきたと期待し始めている。
「週刊ダイヤモンド」1992年4月4日号







