「病気、再発したんじゃないかな。前と同じ感じだろ。薬、ちゃんと飲むようにした方がいいんじゃないか」

(そういえば、この感覚は以前と一緒。そうか、私、また悪くなっちゃったんだ。水素水、効いてないみたい)

 膨らんだ首元をさすりながら、泣きそうになった。

すぐに受診していれば
つらい思いはしないで済んだ

 実夏さんは、「橋本病」という甲状腺機能が低下する病気にかかっている。

 甲状腺はノドボトケの下にある蝶々のような形をした臓器で、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌するのが主な機能だ。

 この機能がなんらかの原因で低下し、必要な量の甲状腺ホルモンをつくることができなくなり、全身の新陳代謝が鈍くなるのが甲状腺機能低下症。原因で最も多い疾患が甲状腺に慢性の炎症が起こる「橋本病」である。

 男女比は1:20~30で圧倒的に女性の比率が高く、年齢別では20代後半以降、特に30~40歳代が多い。

 主な症状は、すぐに疲れる、やる気が出ない、食べる量は同じなのに太る、むくみもひどい、体が冷える、月経が不順、肌がカサカサ、抜け毛も気になる、など。病状が進むと甲状腺が腫れてくるため、ノドボトケのあたりが丸く膨らむ。

 症状が似ているため、うつ病や更年期障害に間違われることが多い。

 甲状腺を異物とみなして攻撃する自己抗体ができるのが原因とされているが、なぜ自己抗体ができてしまうのかは明らかではない。ストレスとの関係が大きいと考えられている。

 生命にかかわる病気ではなく、症状も「疲労感」が中心で、どこかがものすごく痛むというような重病感がないせいか、放置して、悪化させてしまう人が多い。

 実夏さんの場合も、職場の健診で「甲状腺機能に異状あり。要精密検査」の通知が届いたにもかかわらず、「たいしたことないでしょ」と先延ばしにするうちに悪化し、疲労感が半端なくなった段階で受診した時には甲状腺がすっかり壊れて、「生涯、薬を飲み続けなくてはならない」体になっていた。