原因不明の嘔吐を繰り返している若い女性写真はイメージです

胸やけ、嘔吐…逆流性食道炎の
疑いで検査入院してみたが

 都心から私鉄で30分、駅近にある大きめの公立病院に、愛由さん(仮名・30歳)は検査のために入院した。胸やけと嘔吐がひどい、貧血もある……理由はそんな感じ。期間は2泊3日。近所のクリニックの医師が疑っているのは、逆流性食道炎だった。

「暴飲暴食の習慣や加齢、肥満などが原因で胃酸が逆流しやすくなる病気です。胸やけをはじめ、のどや胸のつかえが起こります。胸やけは、特に食後に起こりやすくなります。胃酸が食道を溶かしているような感じがするとおっしゃる患者さんは多いですよ。あなたはどうですか。あとは、粘膜が刺激されることによって、吐き気につながる場合もあります。食道から出血して貧血を起こすこともありますからね」

 似たような症状の疾患には、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などがあるし、食道がんというケースもある。特に食道がんの病変は、逆流性食道炎による食道粘膜のびらんや潰瘍と見分けがつきにくいという。

「ですから、胸やけなどの症状があるときには、内視鏡検査や組織の検査を受け、食道がんと区別を行うことも必要ですよ」

 などと説得され、せっかくだから、しっかり調べることにしましょうと勧められて、愛由さんはしぶしぶここへやってきた。もし、逆流性食道炎などの病気が見つかった場合には、入院中にできるだけ治療もしてもらうことになっている。

「ちゃんと診てもらって、健康を取り戻そうよ」

 夫の英俊さん(仮名・31歳)は慰めるように言い、周囲の誰彼となく頭を下げると、静かに帰っていった。