シモン・ペレス大統領の言葉から学ぶべきこと
本書の前書きをシモン・ペレス(元首相。ノーベル平和賞受賞者)が書いているが、現代の日本人がイスラエル人に学ぶべきことを、彼は明確に示している。彼は祖国についてこのように書いている。
「戻った祖国に待ち受けていたものは砂漠だった。……貧しい土地に帰ろうとする貧しい人間として、われわれは、欠乏というものの豊かさに気づいた。われわれの自由になる財産は、人的資本以外にない。この不毛の地に通用するのは開拓者だけ、つまり何もない状況に立ち向かい必死に仕事をする開拓者だけだ。……必死に働き、自分自身を厳しく律していた。しかし同時に夢を見、そして生まれ変わっている」
人口わずか700万人。周り中敵国に囲まれており、隣国への物の輸出で稼ぐことは出来ない。出来るのは知恵を絞って技術革新を起こし、その知恵を輸出すること。シモン・ペレスは「規模の大きさから量の優位性が生まれるのに対して、規模が小さいからこそ、質の面に集中できるチャンスが生まれる。イスラエルにとって唯一の選択肢は、創造力を駆使して質を追求することだった」と語っている。イスラエルはこうして知恵を産み出し輸出する、「国民全員起業家」とも表現できる、「スタートアップ・ネイション」となったのだ。