日本との協力を求めるイスラエルからの「招待状」
そのイスラエルは、日本との協業を欲している。我々は「イスラエル・ジャパン・イノベーション・エコシステム」を一緒に構築しようと話している。しかし、乗ってくるのはイスラエル側、乗ってこないのが日本側。イスラエルは新技術を生み出すことには長けているが、それを極めて生産効率の高い優秀な工場で商業生産し、世界に流通させる能力には欠ける。翻って、それが上手なのは日本企業である。相互補完の可能性は極めて高い。
本書はイスラエルについて語っているが、日本の読者は、本書を日本との協力を求めるイスラエルからの「招待状」だと受け取っても何ら誤りではない。本書を読むことによって開眼し、ひとつでも多くの日本企業が、彼らとの協業を探ることに真剣な興味を持つのであれば、本書が翻訳され日本で刊行された意義は十分発揮されたことになる。
日本の皆様。私は最近日本企業を訪れると、こんなことばかり話している。
「皆さん。『イノベーション』とは人より先にやるから『イノベーション』なのですよ。人がやったことを真似て、自分の会社に取り込むということは『イノベーション』とは呼ばないのです」
「自分で発明できないのなら、せめても発明に取り組んでいる人と組んで、その発明に参加しては如何ですか」
「コロンブスが新航路開発のために船出する準備をしているとき、二人の若者が港に居たとします。一人の子は、『僕も絶対この船に乗り込んで、コロンブスと一緒に出かけなければならない』と考え、もう一人の子は、『コロンブスはただの向こう見ずで海賊に襲われるか、台風に巻き込まれて死んでしまうに違いない』と考えます。あなたはどちらのタイプですか?」
こんな話ばかりしなければならない自分の持つフラストレーションに、自分自身いやになる。