悲劇的な決算を迎えるパナソニック、シャープ、ソニーの民生電機3社。なぜ3社はアップルになれなかったのか。スティーブ・ジョブズのように自社製品が世界をどう変えるのかという未来図(ロマン)を示し、組織を先導する強力なリーダーがいなかったというのはその答えの1つだ。しかし、他に2つある。キャッシュ化速度の違い(ソロバン)と、難局を耐え、乗り越える力(ガマン)だ。
苦境に立つ民生電機業界の
真の原因は何か?
2012年3月期の合計最終赤字が1.2兆円を超える予定のパナソニック、シャープ、ソニーの民生電機3社。その凋落ぶりは指摘されて久しい。
2月以降の株価は、シャープを除けば戻り基調ながら、震災前の水準からは、約40%下回った水準で放置されている。2月1日にはソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長が、2月28日にはパナソニックの大坪文雄社長が、3月14日にはシャープの片山幹雄社長が退任すると発表、異例の3社そろっての社長交代劇となった。
電機3社の苦戦の背景には、いくつかの要因が考えられる。そこには、1)外部要因、つまり経営陣や会社が、主体的にコントロールすることが難しい要因と、2)企業独自の失敗、いわば内部要因が混在している。
概して、経営陣のコメントからは外部要因に責任を求める風潮があり、株式市場の参加者からは内部要因に責任を求める声が多い。しかし、これらを峻別して分析することで、問題の本質を見失うことなく、今後の処方箋を考える上で有効なヒントが得られよう。