卓球台を活用した
サブスクビジネスとは?

――サブスクリプション・ビジネスについて、あなたが書籍で取り上げなかった意外な成功例はありますか。

Photo by Yoshihisa Wada

 最近、個人的に興味を持っているのが、卓球でサブスクリプションを展開している企業です。高級な卓球セットなのですが、人々は何のためにこのサービスを欲しがると思いますか。

――楽しむためでしょうか。

 答えは「ソーシャル」です。どういう仕組みかというと、彼らはソーシャル的な交流を促したいと思う企業に対して営業をかけます。具体的には、無料で卓球台を提供しますが、ラケットには年間数百ドル払ってくださいなどと持ちかけるそうです。

 アプリケーションを使ってラケットを持っている人を集めてトーナメントを開催することができ、試合のスケジューリングもできます。全てのデータが追跡され、会社側に提供されます。 会社は実際にどれくらいの使用量があるかを知ることができ、そこに価値が生まれるのです。社員同士が楽しく卓球で競い合うことが社会的な“接着剤”となって、人と人との出会いの場になるのです。

 今、その会社はビルの大家に営業をかけ、「卓球コーナーを作れば、入居している会社は長期間契約してくれますよ」と勧誘しています。単に卓球台をレンタルするのではなく、デジタル技術によって卓球台を通じたソーシャルなつながりを把握することで、卓球がビルに新たに付加された機能の一つになるのです。

――サブスクリプション・モデルに移行しようとする際、企業が注意すべき落とし穴を教えてください。

 うまくいっていない会社はたいてい考えすぎているのです。オーストラリアのメディア企業Fairfax Mediaを見てください。4~5年前、同社にはデジタル戦略がなく、収入は減少し、経営難がささやかれていました。そこでわれわれがペイウォール(ウェブサイトのコンテンツを一部有料化し、対価を支払うユーザーだけアクセスできるようにする課金方式)導入を支援して、大きな成功を収めました。

 現時点では有料加入者数は私たちの期待をはるかに上回っています。今、第2ステップとして、有料加入者をどれだけ維持できるかに取り組んでいます。