テクノロジーの進化でさらなる激変期に突入したメディア業界の最前線を追う本連載。第7回では、『週刊ダイヤモンド』10月27日号の特集「メディアの新序列」のスピンオフとして、世界中のメディアが注力する定額課金モデル「サブスクリプション」の管理プラットフォーム会社、ズオラ・ジャパンの桑野順一郎社長のインタビュー(下)をお届けします。サブスク成功の秘訣について話を聞きました。(聞き手/週刊ダイヤモンド副編集長兼ダイヤモンド・オンライン副編集長 山口圭介)

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――サブスクリプションを導入することのメリットをより具体的に教えてください。

 ズオラの顧客で、英国にあるスナック菓子の会社が参考になるかもしれません。スナック菓子好きが集まってつくった会社です。そもそも市販されているスナック菓子は、塩分がきつかったり、添加物が入っていたりとヘルシーではありません。彼らはヘルシーなスナック菓子を提供しようと会社を設立しましたが、設立の際、マーケットリサーチは一切行いませんでした。代わりにやったことは申し込みがあると、箱にお菓子を4つ詰めて送ることだけ。

くわの・じゅいんいちろう/キリバ・ジャパン社長、ライトナウ・テクノロジーズ代表、日本オラクルRightNow事業本部長などを歴任。国内におけるクラウドビジネスで実績多数 Photo by Yasuo Katatae

 ただ、送ってから必ずやったことがアンケートを徹底的に取ることです。「どのお菓子が好きだったか」「どのお菓子が嫌いだったのか」「なぜそれが好きだったのか」――。それを1カ月、2カ月、3カ月と繰り返していくと、ユーザーの好みが理解できます。ユーザーの好みが理解できると、こういうテイストも好きだろうと仮説を立て、少しテイストを変えたりする。ユーザーの立場からすると、今まで自分が購入しなかったタイプのお菓子、新しい好みの発見がある。それが1カ月に1回届く待ち遠しさやワクワク感につながるわけです。新たな「エクスペリエンス」の提供が彼らの価値なんです。

 一方で、日本のお菓子屋は誰が自分たちのお菓子を食べているか知りません。新しいお菓子を出す際は、高校生や大学生、若い女性に食べてもらってリサーチをします。しかも発売するときは在庫を抱えます。この英国のお菓子会社はリサーチする必要もないし、在庫を持つ必要もない。全く新しいビジネスモデルというのはそういうことです。最近は「BtoC」とは言わず、「DtoC」という言い方をする。「Direct to Consumer」の略です。