現時点で中国語・韓国語に対応。わかりやすいインターフェースで、利便性・デザイン性を兼備する。キュートなキャビンアテンダントが案内役だ。

 旅先で、そして出張先で、海外の言葉がわからず困った経験をお持ちのビジネスマンは少なくないだろう。とりわけアジア圏において、英語以外の現地語に接し、「お手上げ」となったシチュエーションに遭遇した方もいるかもしれない。

 そんな人に向けて、このほど心強い味方が誕生した。その名も「TranScope」(トランスコープ)。対象とする言葉にかざすだけで、瞬時に日本語に訳す「リアルタイム翻訳アプリ」だ。

 たとえば現地のレストランにおいて、メニューなどにかざすと一目瞭然。たちどころに日本語に翻訳してくれる。このようにレストランで、ショップで、駅で……様々なシーンで威力を発揮する便利アイテムなのだ。

 開発・販売を行なうのは、オムロン ソフトウェア株式会社(本社:京都市)。駅や交通領域における交通システム、ATM端末、量販店向けPOSシステムなど、卓越した技術で知られる。

 中でも注目すべきは、同社の言語処理技術。携帯電話やスマートフォンの文字入力で搭載実績No.1のエンジン「Wnnシリーズ」を展開している。1980年代に開発されて以降、WindowsやLinux、i-Mode、iOS、Androidなど、多様なニーズにおいて最適な文字入力技術を提供してきた。現在、携帯端末においては、実に国内外200以上の機種に搭載されている。

 また、文字入力の新たな手段として、画像認識技術にも力を入れており、組込み向け文字認識エンジン「MobileOmCR」(モバイルオムシーアール)は業界最高水準の認識精度を誇っている。

 モバイルソリューション事業部主任の田中宏一郎氏は、「もともと画像から翻訳するというアイディアは、当社の開発者が海外のバス停で言葉がわからず、行き先に迷った経験がヒントになって生まれたものです。その発展形として生まれたTranScopeは、当社の強みである対象画像からの文字列の切り出しと認識(OCR)と多言語辞書を組み合わせた、弊社技術の結晶とも言える商品でしょう」と語る。

 また、同じくモバイルソリューション事業部の出野健太郎氏は、「食べ物や地名など、旅に役立つ言葉をコンパクトに圧縮して、翻訳辞書を搭載しています。一言語につき、約1万語を厳選していますよ」とその特長を教えてくれた。

 さらに特筆すべきは、TranScopeのユーザビリティだ。スマートフォンに搭載して文字にかざすと、リアルタイムで翻訳結果が表示され、また読み取った履歴も表示されるなど、非常に使い勝手が良い。

 販売開始は今年6月末頃。まずは日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語のリリースを予定しており、旅行代理店などを経由して一般ユーザーに利用できる仕組みを検討中という。今後、英語(米国)や台湾語(繁体字)対応を行ない、将来的にはドイツ語、スペイン語、フランス語、オランダ語などへの展開も視野に入れているという。

 グローバル化が進む今、これからは全世界の広いフィールドで仕事に立ち向かうビジネス戦士たち、そして旅行者たちがますます増えることは必至だ。そんな彼らの片腕として、このアプリがきっと頼もしい味方になってくれることだろう。

(田島 薫/5時から作家塾(R)