女性は「上書き保存」、男性は「名前をつけて新規保存」……。真偽の程はわからないが、昔からまことしやかに語られる説である。中には結婚した後も、昔の女性に思いを募らせるおじさんたちがいる。普段、あまり語られることのないおじさんたちの切ない思いを聞いた。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
新規保存しがちな男性
輝き続ける過去の恋愛
男女の恋愛の仕方の違いを表わす有名なフレーズに「女性は上書き保存、男性は名前をつけて新規保存」というものがある。女性は新しい恋人ができると、ファイルを上書きするように思いを更新していく。
過去の恋人とどれだけの大恋愛を繰り広げようとも、新しい恋人ができればかつての恋心をきれいさっぱり清算して、次の恋愛へと全身全霊を傾けることができる。
一方、男性は名前をつけて新規保存。
昔の恋人はそれ専用のファイル、新しい恋人にはそれ専用のファイル…と恋人ごとにファイルが作成されていく。新恋人との恋愛にのめり込むことがあろうと「恋人フォルダ」に保存されたかつてのファイルが失われるわけではなく、思い出はきれいなまま輝き続け、時としてその輝きが「決して手が届かない過去のもの」として男性を苦しめることがある。
もちろんこれはあくまで「傾向としてこういうこともいえるのですよ」くらいの言説なのだが、「言い得て妙」と思わされるところもある。
男性からすると、「上書き保存」で思いを更新していく女性の心の動きが不思議であり、思いの移り変わりっぷりが残酷に映ることすらある。
しかし女性は自然に、かつ純粋に次なる恋愛を謳歌(おうか)しているだけで別に非情に徹しようとしているわけではないのである。人の恋愛話を聞いていて、こうした男女の性差について思わされる機会は多い。