この制度は、「技能実習」などの在留資格で、最長5年間、企業等で働きながら技能などを習得してもらうものだった。

 だが、最低賃金を大幅に下回る賃金しか支払われなかったり、長時間労働を行わせたりして、「安い労働力」としてしか扱われない事例が多発している。

 一例を挙げると、岐阜の縫製会社に勤務していたカンボジア人技能実習生の場合はこうだ。

 (1)毎日午前8時から午後11時頃まで縫製作業
 (2)休日が月1回程度で、土日を含めて連続勤務
 (3)賃金は、月額1万5000円から2万7000円
 (4)賃金から天引きされていた健康保険料は、納付されておらず無保険

 こうした状態で、約8ヵ月働き、過酷な労働に耐えられなくなり、「失踪」した。

 その技能実習生らは、支援者や弁護士に相談して別の実習実施機関に移籍できることにはなったが、入国後、約8ヵ月間の賃金については、訴訟で請求が認められたにもかかわらず、1円も支払われなかった。

 訴訟が終わる間際になって、受け入れ企業が倒産することになってしまったからだ。

 会社が倒産した場合、国が未払い賃金の8割を立て替えて支払う制度があるが、この実習生らのように倒産から6ヵ月以上前に退職していたケースでは、この制度は使えなかった。

 こうして日本に技能実習に来て、長時間労働、連続勤務を強いられ、結局、最低賃金すら支払われないまま、本国へ帰国せざるを得ない技能実習生の事例が毎年、後を絶たないのだ。

 特に縫製業界では、最低賃金を大幅に下回る賃金しか支払われず、常軌を逸した長時間労働を行わせている悪質な事例が毎年、報告されている。

 時給300円や500円しか支払われていない場合、それは受け入れ企業側が、最初から法令を守らずまともに賃金を払うつもりもない確信犯だ。

 そうした事業者が、技能実習生を多数受け入れてしまっている現状がある。