今年7-9月のGDP(国内総生産)は、物価変動分を除く実質で前期比年率▲1.2%と、マイナス成長に転じた。
自然災害の影響が消費や輸出に影響したことが減少の主因で、経済の牽引役となっている民間企業の設備投資は8四半期連続で増加しており、落ち込みは一時的な動きだろう。
だが先行きを展望すれば、日本経済が抱える課題は多い。海外では緩やかに需要が鈍化しているうえ、来年の年初から始まる日米物品貿易協定(TAG)交渉の結果次第では、輸出産業は今年ほど楽観はできない。
さらには、来年10月実施の消費増税と、ビッグイベントが控える。だが懸念されるのはGDPの鈍化だけではない。
減り続ける交易利得
原油価格値下がりは朗報か
日本経済は、海外への投資で“稼ぐ”体制へと移っている実態からいえば、GDPだけ見てみても経済の全体像を把握できない。
海外への投資から得られる所得や、貿易取引における価格の変化が、国全体の所得にどのような利得をもたらしているのかという尺度も合わせて評価する必要がある。