アラブ世界では、経済引き締め策の波が中間層を圧迫している。成長と安定の要だった中間層は、厳しい支出抑制を迫られ、これが不満を煽っている。エジプトでは人々は副業を始めたり、外食回数を減らしたりしている。家計のやりくりに窮しているヨルダンでは、子供たちを私立学校に通わせるのをやめる人が増えている。チュニジアでは、何十万人もの公務員が11月、賃金引き上げを求め終日ストを行った。カイロ大学に勤める政治科学者で歴史学者のタウフィーク・アクリマンドス氏は「私は、以前はアッパー・ミドルクラスだったが、今はローアー・ミドルクラスだ」と語る。政府が財政赤字抑制策を開始して以来エジプトポンドの価値が半分になったにもかかわらず、同氏の政府職員としての給与は、以前と変わっていないという。同氏は、節約のため肉を食べる量を減らし、インスタントコーヒーのネスカフェを飲むのをやめたことを明かし、「こんな状況が長く続くのは耐えられない」と話す。