「地元は受け入れない」と現職知事

 関電の原発が11基も立地する福井県の西川一誠知事は「原発は良いが、原発の“ごみ”までは地元は受け入れない」というスタンスで、中間貯蔵施設は県外で整備するよう求めていた。これは歴代知事の方針を踏襲している。

 西川氏の要請に応える形で、岩根社長は期限を自ら区切ったのには、理由があった。特に高浜原発はあと約9年で燃料プールが満杯になりそうなのだ。

 関電は発電コストの安い原発のおかげで販売電力量を伸ばしている。中間貯蔵施設を早く整備しなければごみを入れる場所がなくなり、稼ぎ頭である原発を動かせなくなってしまう。

 関電は、13年から関電エリアで中間貯蔵施設の立地候補地になってもらおうと、説明会を各地で延べ7000回以上行ってきた。しかし、中間貯蔵施設はいわば“迷惑施設”。受け入れを表明する自治体は現れなかった。

 そこで、東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電に救いを求めた。東電と原電の合弁会社であるリサイクル燃料貯蔵(RFS)は、再処理工場に近い青森県むつ市に中間貯蔵施設を建設中。関電はこの施設を利用させてもらえないかと感触を探ったのである。

 しかし、その動きが今年に入って一部報道で明らかになり、地元のむつ市長が激怒。記者会見を開いて、関電の使用済み燃料の受け入れ拒否を明言した。むつ市が受け入れを同意したのは、あくまで東電と原電の使用済み核燃料であって、そもそも苦し紛れにRFSに便乗しようとする関電の“ごみ”を受け入れる義理はないからだ。

 それでも電力業界関係者の多くは「関電の実質的な選択肢はむつしかない」と見る。RFSが整備に費やした期間は約20年。関電が今から新たな中間貯蔵施設を、高浜原発の使用済み燃料プールが満杯になる9年ほどで整備することはできないと考えるからだ。