しかし街が形になり、日常的に人が訪れるようになると、はじめは奇妙に思えた名前も自然と受け入れられていくものだ。それは、駅名が地域の表札として機能しはじめたということを意味している。

「ゲートウェイ」と
「ヒルズ」に認知度の差

 改めて高輪ゲートウェイと虎ノ門ヒルズについて考えてみよう。高輪ゲートウェイは、JR東日本が車両基地の跡地を自ら再開発する一大プロジェクトの玄関口として設置される駅である。このプロジェクトのコンセプトは「グローバルゲートウェイ品川」であり、街の名前にも「ゲートウェイ」が付けられるだろうから、駅名に「ゲートウェイ」を付けるのは既定路線だったのだろう。ゲートウェイに組み合わせる地名を決めるために行った公募と考えれば、1位の「高輪」と合体した「高輪ゲートウェイ」は必然だったことになる。

 しかしほとんどの人は「グローバルゲートウェイ品川」というコンセプトも、それをJR自身が手掛けることも知らない。もしJR東日本が、駅名と同時に再開発エリアの名称も高輪ゲートウェイに決定したと発表していれば、ゲートウェイという言葉に唐突感を抱かずに、もっとあっさりと受け入れられていたのではないだろうか。

 逆に2014年にオープンした虎ノ門ヒルズは既に高い知名度を得ていたため、地下で直結する新駅が虎ノ門ヒルズ駅になることは、「表札に偽りなし」ということで、自然に受け止められたのだろう。

 2000年に開業したさいたま新都心駅の名前が発表された時、筆者は一地元民として、「ひらがな! 名前が長い! ありえない!」と今回の比ではない大きな衝撃を受けた記憶があるが、あれから18年が経ってすっかり日常の中に溶け込んでしまった。もちろん慣れもあるが、街が新都心という名前にふさわしい存在になってきたということも無関係ではないだろう。

 幸いにして高輪ゲートウェイは全てがJR次第である。高輪ゲートウェイが新たな拠点になりえるか、街の表札としてふさわしい駅名になるかどうかは、JR東日本の再開発プロジェクトの成否にかかっている。