「最悪の状態」をイメージすると
緊張への抵抗力がつく

“緊張への抵抗力”を身につけるという点で、緊張しやすい人ほど、あえて緊張するようなことを普段やっておくことをおすすめします。

 だいたいのことは、やってみれば事前に思っていたほどのことではありません。この「思っていたほどのことではない」というのも、大切なキーワードです。なぜなら、人間は想像でいっそうの不安や恐れをつくり出すからです。

 たとえばパラシュートの落下訓練。高所恐怖症でなくてもイヤですよね、飛行機から飛び下りるなんて。私自身も、最初の頃は本当に緊張したものです。

 しかし、それを1回飛んで、2回飛んで、10回飛んで……とくり返すと、だんだんと慣れてきます。1回目は緊張しているので、怖いのを通りすぎてどうにでもなれと、「やーっ!」と飛び出す。2回目になると少し余裕が出て、逆にまわりが見えて「怖い」と思うようになる。

 これが10回も飛べば「怖いな」とは思っていても、そんなに緊張はしなくなってくるのです。何かアクシデントがあっても対応できるな、という自信も芽生えてくる。いい意味で、体が無意識に反応できるようになります。そうすると頭を使いすぎずにすむ。

 経験値が武器になっていくのです。

 ある程度、緊張がほぐれて楽観的な気分になってきたら、あえて「最悪の状態」をイメージすることも、荒療治ではありますが、緊張への“抵抗力”を身につけることにつながります。

 自衛隊でのパラシュートの落下訓練では、事前に遺書を書く習わしがあります。「もし何かあったら、これを必ずご家族に渡すからな」と上官から言われると、自分の死をリアルにイメージせざるを得ません。

 最後に何を言ったらいいだろう、自分が遺すべきもの、遺したいものは何なのだろう……。

 真剣に考えているうちに、自然と落ち着いてきます。