結局、大きなリスクをとらないようにと、政府がかなりの程度、関与せざるを得なくなる。となると、民間から来た人は不自由になって力が発揮できなくなり、、結局、失敗したりすることになる。

 というわけで、「官」が行う仕事は「民」ができないものに限るという大原則があり、その中でも損失が発生する確率が低いもの、つまり安全なものに限定されるのだ。

過去にも
政府投資の失敗が累々

 そうやって政府による投資活動が成功事例ばかりなら結構なのだが、それでも、実際にはやはり失敗が多いのだ。

 これまで実施されたもので、税金がムダに終わったケースをあげてみよう。筆者が大蔵省時代に財政投融資改革に携わっていたころに、経験したり、見聞したりした話だ。

 まずは基盤技術研究促進センターの失敗がある。同法人は情報通信分野などの基礎的な研究を目的に1985年に設立された特殊法人だ。

 原資は民営化されたNTTの政府保有株式の配当金などを産業投資特別会計の財源にし、これらの資金が基盤技術研究促進センターを通じて、研究開発機関や民間企業に出資や融資として流れていた。

 ところが、その成果は悲惨なものだった。2800億円の出資は8億円くらいしか回収されず、結局、2003年4月にセンターは解散した。

 1980年代初めから10年かけて行われた第五世代コンピュータ開発プロジェクトでは570億円が投入された。しかしアプリケーションのないマシンしかできなかった。

「当初の目標を達成した」などと政府は言うが、このような言い方には注意が必要だ。そもそも当初の目標がはっきりせず、後で言い訳している場合が多いからだ。

 公的資金が投入され、それは研究者らの人件費などで使われた部分もあるだろうが、最終的には成果が社会に有用でなければならない。

 ソフトウェア技術者の不足に対応するため、1980年代中頃に策定されたシグマプロジェクトも成果は上げられなかった。

 経産省主導のもとで外郭団体の情報処理振興事業協会 (IPA)が音頭をとった。1990年4月にコンピューターメーカーやソフト会社50社が出資し事業会社「シグマシステム」を設立したが、95年に解散した。プロジェクトは方向性を見誤って失敗し、最終的に投入された公的資金は250億円といわれている。