2018年も師走を迎え、あっという間に忘年会シーズンに突入。年末くらい、ぜいたくにおいしい食事を楽しみたいものだ。特に魚介類は、カニ、ブリ、フグなどこの時季おいしいものも多く、普段食べられない高価なものにも手が伸びる。ただし、お店にある「旬っぽい」メニューを何も考えずに頼んでしまうと、落とし穴が待っているので要注意だ。魚介が高くなるこのシーズンは、値段の割に品質が伴わない魚介も出回りやすい。そこで今回は、お魚のプロであり、『五種盛りより三種盛りを頼め 外食でおいしくて安全な魚を食べる方法』の著者でもある、おさかなコーディネータのながさき一生さんに、忘年会で気をつけた方がいい魚、そして意外なおいしい魚について教えてもらう。
忘年会シーズンの今、
どんな魚がおいしいのか
忘年会シーズンの冬の時季は、1年で最も良い季節といっても過言ではないほど、さまざまな魚介類がおいしくなる。年末年始の行事で登場するカニやマグロなどの魚介に「ご馳走」という印象を抱かれる方も多いことだろう。そこには、ちゃんとご馳走となる理由があるのだ。
まず、気温が下がることによって魚の鮮度が保ちやすくなる。また、冬というと日本海などの荒れた海の印象があるかと思うが、海がかき混ぜられ栄養がさまざまなところに行き渡り、荒波に揉まれる中で身も締まってくる。そのような状況の中で、脂がのったり、食感が良くなったり、うま味が増える魚が多くなるのが冬という季節なのだ。
冬においしい魚介は、例えば、本マグロ。年末年始に、大間のマグロ漁の番組やセリの様子が放送されたりするが、冬に脂がのるといわれる魚の1つだ。また、ブリも同様でこの時期の寒ブリといえば脂がのって好きな方も多いことだろう。また、キンメダイやキンキなども冬に脂がのっていることが多い。
そして、冬の味覚の1つといえばフグだ。その代表格のトラフグは、冬に食感やうま味が増し、薄造りの刺身もさることながら、鍋で食べると寒い時季の味わいは格別だ。同様に鍋でおいしくいただける冬の魚といえば、アンコウやクエ、タラなどがある。また、とりわけ秋田県で冬の味覚といえば、「しょっつる鍋」などで食べるハタハタだ。漢字1文字で魚偏に雷とも書くように、日本海側で雷が頻繁に鳴り出す冬の初めによく獲れて、ハタハタは忘年会シーズンにもおいしい魚といえる。
それから、冬といえば何といってもカニ。やはり、年末年始を中心にカニはよく売れ、特に漁がこの時季に限定されている日本海側のズワイガニには特別なものがあるだろう。最近では、北陸・山陰地方を中心にブランド化も進んでおり、高いものだと1パイで何十万円もするので、冬の味覚の王様といっても過言ではない。
もちろん、各々の好き好きや考え方、地域差はあるかと思うが、このほかにも冬においしい魚介はまだまだあり、忘年会では魚介を選ばない手はないとも言わんばかり。ただ、上記のような旬ともいえ一見冬に良さそうに見える魚介でも、ワケありだったりと落とし穴も待ち構えているので注意が必要だ。