積水ハウスが地面師の詐欺被害に遭ったJR五反田駅近くの土地
積水ハウスが地面師の詐欺被害に遭ったJR五反田駅近くの土地 Photo by Yoko Suzuki

不動産のプロの大企業が
なぜ簡単に騙されてしまうのか

『地面師』書影
『地面師』 森 功著 講談社刊 1600円

 2016年10月、東京・新橋の歓楽街の一角。資産家の女性の白骨遺体が発見された。自宅と隣家のせまい隙間に、うつぶせに倒れていた。これだけでも十分きな臭いが、驚くべきことに彼女の土地は何者かによって転売されていた。

 地主になりすまして、不動産をだましとる「地面師」の存在は古くて新しい。戦後の混乱期やバブル期に暗躍し、アベノミクスで沸くここ数年、再びうごめき始めた。本書『地面師』では、冒頭で触れた、新橋の地主怪死事件を含む6つの詐欺事件の真相に迫っている。

 55億5000万円。大手住宅メーカー・積水ハウスの五反田の土地取引での被害額だ。今夏に会社が発表、刑事告訴したことで10月以降、詐欺師達が続々逮捕されている。

 立地の良い土地に目をつけ、地主になりすます。書類を偽造し、不動産業者や開発業者に土地を売り払い、金を受け取る。積水ハウス事件は典型的な地面師事件だったが、多くの者は思っただろう。不動産のプロの大企業がなぜ簡単に騙されてしまうのか。

 積水ハウスだけではない。本書で触れている詐欺事件の被害者だけでも積水ハウスのほかホテルチェーンのアパグループやNTT関連会社など大手企業の名前も並ぶ。