脱「おっさん」的資産形成Photo:PIXTA

 当連載のタイトルは「オヤジの幸福論」ですが、最近、「おっさん」という言葉が話題になっています。その「おっさん」というのは、年齢や性別とは関係なく、凝り固まった価値観やルールに縛られている人たちと定義されています。日本が重厚長大なものづくり中心からサービス業やIT中心に産業の軸足が変わり、ダイバーシティの思想が取り込まれていく中で、ビジネス・パーソンの価値観や働き方も、組織重視から個人重視に変わりつつあるように思います。そんな中、依然として「男性/女性はかくあるべし」だったり、「石の上にも三年」「上司の言うことは絶対」といった価値観を持ち、それを他人に押し付けている人たちはまだ相応に存在しており、ゆえに「さよなら、おっさん」というフレーズがでてきたのでしょう。

 このように「おっさん」は古い価値観を表す言葉として使われていますが、では資産形成や投資において「おっさん」的な凝り固まった価値観やルールとは何なのでしょうか?

今の価値観をつくったのはバブル景気!?

 投資に対する既存の価値観やルールとしてまず挙げられるのは、「投資はギャンブル」という考え方ではないでしょうか。これは日本人には根強い価値観になっており、特に1990年前後のいわゆるバブル景気を経験している世代に多いように思います。株式や不動産が短期間で猛烈に上がり、その後、大暴落したため、投資にギャンブル的な印象を抱いてしまったのも無理はありません。このときに、短期間で大きな収益を上げられた人の中には、引き続き、ギャンブルとして投資している人もいると思いますし、逆に大暴落後に売ってしまった人には、「羹あつものに懲りて膾なますを吹く」状態で、投資には一切手を出さなくなった人もいるでしょう。

 成功したか、失敗して終わったかによって、その後のスタンスは変わっていますが、投資に対する価値観が「投資はギャンブル」という点では共通しています。でも、この価値観は投資が資産形成の一手段として不可欠になりつつある今の時代には、足枷になっているのです。具体的にはどういうことでしょうか?