旧来の常識の崩壊を印象付けたJAL破綻

 企業倒産の代表例として必ず挙げられるのは、北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行、山一證券といった大手金融機関だ。確かに、護送船団方式で守られてきた金融機関が破綻したことは、旧来の常識が覆された象徴的な事例だといえる。

 しかし、「昭和的な日本企業の常識をより多く覆したのは日本航空(JAL)の破綻だ」と東京商工リサーチの友田信男常務取締役情報本部長は話す。

 JALは航空輸送でシェア1位だった。その点で「シェアがあればつぶれない」といわれていた常識をひっくり返した。さらに、破綻直前まで国のバックアップも受けていた。それにもかかわらず破綻へ突き進んでしまったことは、驚きを持って受け止められた。

 他にも破綻処理の過程で、企業年金などの日本的な労使、労働条件が脚光を浴び、JAL以外でも多くの企業の慣習や常識が、時に会社の命運を左右することを知らしめる事例となった。