ブラック・ラグーンの魅力とは?『ブラック・ラグーン』は、タイらしき東南アジアの国が舞台の物語だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

【おとなの漫画評vol.11】
『ブラック・ラグーン(BLACK LAGOON)』
広江礼威
既刊11巻 2018年11月現在 小学館

 ハードボイルドな作品である。ユーモアに富んだしゃれたセリフ回しに、膨大な武器の情報と激しい銃撃戦が繰り広げられる。主人公の青年ロックは元日本人ビジネスマンだが、セリフ、行動、情景に日本風の趣向はまったくない。作者はアニメを制作し、イラストレーターでもある才人で、1972年生まれの46歳だそうだ。私はこの作品が大好きで、単行本の発売をいつも心待ちにしているのだが、なんとも刊行ペースが遅く、いつももどかしいのである。

会社に見捨てられた男が
東南アジアの裏社会に入り込む

『ブラック・ラグーン(BLACK LAGOON)』の舞台は、タイらしき東南アジアの国のロアナプラという暑苦しい港町である。

 日本の旭日重工資材調達部の20代社員、岡島緑郎(おかじま・ろくろう)が東南アジアで「ラグーン商会」を名乗る運び屋のならず者グループに拉致される。ラグーン商会は旧ソ連軍から離脱したマフィア「ホテル・モスクワ」の依頼で旭日重工に関わる仕事を受けていたのだが、ついでに社員の緑郎を身代金目的で拉致する。しかし、旭日重工本社はあっさり緑郎を見捨ててしまう。国際電話による本社とのやりとりはこうだ。

「君ももう死んでいるんだ。わかるか?」

「はっ? 仰る意味が…その…」

「倒産寸前の旭日重工を建て直すため、核開発の協力を某国に申し込んだんだが、実はその国は禁輸国に指定されててね、ディスクはその計画書なんだよ。岡島君!五万名の社員のためだ。南シナ海に散ってくれ」

「部っ、部長?」

「社長以下、重役全員、君の葬儀には出席するよ」