5Gの覇者に最も近いファーウェイ
副会長の逮捕は何をもたらすか
中国の通信機器メーカーであるファーウェイ(Huawei/華為技術)の社名は、もともと格安スマホユーザーの間では「定番スマホ」として知られる存在だった。昨今のカナダ当局による同社・孟晩舟副会長の逮捕(後、保釈)と、日本政府のファーウェイ排除に関する発言によって、日本でも広く知られるようになった。
ファーウェイはスマートフォン端末市場において、韓国サムスン電子に次ぐ第2位の地位にあると共に、通信インフラ(基地局設備)においてもエリクソン、ノキアに並ぶトップメーカーである。
携帯電話市場において端末と基地局の両方を押さえるは、製品開発戦略上、とても大きな意味を持つ。携帯電話は端末と基地局が相互に通信をし合うことで通話やデータ通信が行われるが、基地局を越えて移動しても途切れることなく通信が継続する必要がある。国や地域を超えても、提携先(ローミング先)の異なる携帯電話キャリアのネットワークにもきちんと接続されなければならない。
こうした相互接続性のことをインターオペラビリティといい、携帯電話端末の開発では、インターオペラビリティを確保するための接続試験(インターオペラビリティテスト)も重要となる。基地局設備は3G(第3世代)や4Gといった各世代の通信規格が標準化されているので、基本的な仕様はキャリアが異なっても共通であるが、全く同一というわけではない。
国やキャリアによってそれぞれ方言のように細部の仕様が異なっているので、どこでも携帯電話が繋がるためには、それぞれの方言に対応できるように準備しておかなければならない。
ゆえに当然のこととして、基地局と端末の両方のノウハウの蓄積があるメーカーの方が、機器開発のコストやリードタイムの面で有利になる。過去にも、モトローラやノキアなどが基地局設備の事業を持つことで、端末市場でも有利にビジネスを行ってきた経験がある。近く実用化される5Gでは、そのポジションに一番近いのがファーウェイと言える。