ファーウェイの売り場Photo:DOL

 従業員は18万人、年商10兆円といわれる中国の巨大通信機器企業「華為技術(ファーウェイ)」の最高財務責任者(CFO)孟晩舟(モン・ワンジョウ)女史(46)が12月1日、米国の依頼を受けたカナダ警察により、バンクーバー空港で拘束された。

 バンクーバー裁判所は11日、1000万カナダドル(約8億5000万円)の保釈金で保釈を認め、トランプ米大統領は「米中経済交渉が重要で、介入を考えている」と述べた。カナダから米国への「犯罪人引き渡し」をカナダの裁判所で認めるか否か、が次の問題だがこの事件には謎が多い。

 カナダ当局がそれを発表したのは12月5日だったが、拘束したのは1日で、その日にはブエノスアイレスでトランプ大統領と習近平中国国家主席が2時間半にわたって会談していた。

経済戦争回避の最中に拘束
米情報機関が和解を“妨害”

 この会談で、米側は来年1月に発動を予定していた追加関税25%引き上げを90日間延期し、中国は米国からの輸入拡大、知的財産権の保護強化などに合意した。

 激化の一途をたどっていた米中の関税合戦は当面「一時休戦」となり、米中双方だけでなく世界経済に大打撃を与えることが明らかな全面経済戦争は回避される可能性が出ていた。