20代のヤマモトさんはバイク事故で全身に火傷を負いました。
 皮膚が焼けただれて、それは顔にも及んでしまっていました。
 ヤマモトさんは事故後、初めて鏡で自分の顔を見たとき、そのひどさに目をそらし、「もう生きていけない」と絶望したそうです。

 そんなとき、担当の医師はこう言いました。
「大丈夫だよ。ケガする前よりも美男子にしてやるから」
 そのひと言に彼は救われ、大いに勇気づけられたのです。
「大丈夫だよ」に支えられて、何十回にも及ぶ手術にも耐え抜きました。

「結局、美男子にはなれなかったけれど、先生のひと言があったからこそ頑張れた。
 こんなウソなら大歓迎だよね」
 いずれにしても、医師のひと言で患者さんの運命が大きく変わるのは間違いありません。

 では患者は、医師とどう接するのがいいのでしょうか。
 病気や治療に関していえば、遠慮なく質問する姿勢が大事です。
 その説明に今ひとつ腑に落ちないところがあるのなら、セカンド・オピニオン(他の病院の医師に診断・治療について意見を求めること)を求めることもできます。
 現代の医学は高度に発達し、かつては不治といわれた病気も治せるようになってきました。
 しかし、限界もあります。
 そして「治す」ことだけに医療者が重きを置いていて、患者さんが治療の間も「人生を生きている」ことを忘れがちになってしまうこともあるのです。

 医師は治療の専門家ではあっても、人生のプロフェッショナルではありません。
 肝心なのは自分がどうしてもらいたいのか、どうなりたいのかをはっきり主張することです。
 それゆえ患者さんは、全過程において医師・医療まかせにするのではなく、自分の人生に主体性を持って生きていくことがとても大事なのです。
 その意味では医師と患者さんはフィフティ・フィフティ。
 言葉を変えれば、治療に関しての責任は、医師も患者さんも50%ずつ負っているということです。