経済政策についても、また金融業界の歴史としても触れたい話題は多いのだが、個人の資産運用にとっては、株価と不動産価格の下落局面が長かったことの影響は大きかった。

 昭和の投資家には、「株式はアップダウンがあるが、持っていればいつかは報われるものだ」という実体験と経験則があったが、平成以降の投資家には投資の成功体験が乏しい。

「株はバクチのようなものだからお止めなさい」といった意見を持つ人が少なくない。

 株式は、「絶対に儲かる」とまで言えるものではないが、リスクに見合うと市場に評価された程度のリスクプレミアム(リスクを補償する追加的リターン)が期待できるものであり、バブルの末期のような超割高な株価で買わなければ、リスクの小さな金利以上の利回りが期待できる運用対象だ。

 しかし、平成時代を通じて成功体験を持つ投資家が少なかったために、投資家の間には株式運用の基本的な常識(「長期投資」「分散投資」「低コスト」の三原則が重要だ)が十分根づいていない。

 株式への投資の仕方は、個別株式への投資に限らず、投資信託を通じた方法など他にもあるが、日本の個人が株式を使って上手にリスクを取ることができるようになるにはしばらく時間がかかりそうだ。

(2)手数料自由化

 日本の投資家の株式取引は、長らくあらかじめ定められた固定手数料(委託売買手数料)による取引だったが、1998年(平成10年)に行われた大規模な金融規制改革である通称「日本版金融ビッグバン」の下で完全に自由化された。

 加えて、新たに登場したネット取引専業の証券会社が、手数料引き下げ競争を繰り広げたことで大幅に低下した。