ただ、基本的に借入金は極力少なくしようとするし、事業の当初に大規模な建設工事等がなければ、巨額の融資を受ける必要性はない。そのためここでは出資を中心に考えると、出資者、つまりSPC参加企業、端的に言えば実際の水道コンセッション事業者たちの収入は配当である。サブコンとしての収入もあるが、こちらはSPCとしての立場で言えば費用だ。

 そうした費用も支払いつつ、株主への配当を確保することになるのだが、昨今の株主資本主義の進展、それを進めてコスト削減と配当増を強く求めてきているのはグローバル企業だ。水道コンセッションで日本市場を狙っていると取り沙汰されているのもまた、水メジャーと呼ばれるグローバル企業であることを考えると、配当増とそのためのコスト削減圧力は同様に強くなると容易に想像できる。

 ここがさらなる問題点で、こうした事業の構造のため、配当の確保や増額のために、サービスの質の低下や水道料金の値上げが起こる可能性が高いということである。

 これは言い方を変えれば、国民の生命に関わる大事なインフラを金融投機の対象にしようという話であり、言ってみれば「インフラの金融化」である。

 こんな仕組みを本当に理解して、本気で導入しようとするんですか?と政府のみならず地方公共団体に問うてみたいところだ。

現状の水道メンテナンス等の
民間「委託」とはまったく違う問題

 さて、こうした仕組みが分かれば水道コンセッションは何が問題で反対意見が多いのかは理解できると思われるが、残念ながら、それを欠いたまま、誤解に基づくもっともらしい見解がメディア等を通じて飛び交っている。

 そうしたものの一つに、「水道の管理や保守は今でも民間事業者に委託しているのだから、既に民営化は行われているので問題などないはずだ」というものがある。

 これは「運営権を設定して水道インフラを使って事業をやるということ」と、「業務を委託するということ」の違いが理解できていないことによるものだ。

 前者についてはこれまで説明してきたとおりであり、後者、つまり業務の委託とは、特定の業務について、委託料を支払ってその業務を行ってもらうものであり、水道管等も含む水道施設の保守や水道料金の徴収等、さまざまなものがある。

 事業者の収入は委託料であり、業務も決められたものを行うので自由度はほとんどない。