閉幕した第196国会で“重要法案”と目されながら、継続審議となったものに、水道法改正案がある。水道法改正案は「水道民営化法案」という見方もされ、批判されているが、制度面を見れば「民営化」とはいえない。しかし、それでも重大な問題がある。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
「水道法改正案」の狙いは
水道「民営化」なのか?
第196回国会は32日間延長された末、7月22日をもって閉幕した。安倍内閣が重要法案と位置付けた働き方改革関連法案をはじめ、TPP11、TPP関連法案、IR実施法案等多くの法案が可決・成立した(TPP11等の条約については承認)。
そうした中で、重要法案と目されながら、衆院では可決し参院には送られたものの審議入りせず継続審議となったものに、水道法改正案がある。
今回の水道法の改正、その目的は、厚労省の概要資料によれば、(1)国や都道府県等の水道事業関係者の責務の明確化、(2)水道事業者間の広域連携の推進、(3)適切な資産管理の推進、(4)官民連携の推進等、とされている。
しかし実態としては、水道施設の老朽化が言われて久しいところ、長寿命化等の水道事業関連資産の適正な管理を行うとともに、官民連携を通じて民間の資本も活用しつつ施設の更新、運営等を行うことができるようにすることに主眼が置かれているようだ。
具体的には、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(いわゆるPFI法)の公共施設等運営事業(コンセッション)の仕組みを活用し、水道事業について公共施設等運営事業を実施する権利として水道施設運営権を設定し、民間事業者による水道の管理・運営を可能にするというものである。