ゆうちょ銀行と地域銀行との協調路線にヒビを入れる選択をした政府の郵政民営化委員会(岩田一政委員長)ゆうちょ銀行と地域銀行との協調路線にヒビを入れる選択をした政府の郵政民営化委員会(岩田一政委員長) Photo by Masaki Nakamura

 ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げ問題を巡って、池田憲人社長(71歳)の辞任が不可避の情勢になってきた。経営を監督する金融庁は、すでに後任の人選作業に入っており調整を急ぐとみられるが、意向に沿う人材を再び送り込めるかは不透明な状況にある。

 横浜銀行出身の池田氏は、2016年4月に東日本大震災事業者再生支援機構から、ゆうちょ銀の社長に就任。金融庁の後押しを受けるかたちで、それまでの地域銀行との対立路線から協調路線へとかじを切り、地銀と共同で地域活性化ファンドを設立するなど「民業補完」に心血を注いできた。

 潮目が変わったのは昨年10月。3年ごとに実施する郵政民営化の「総合的検証」が進む中で、与党・自民党が衆院選の政策集に「限度額のさらなる見直し」を検討事項として盛り込んだのだ。

 これを好機と捉えたゆうちょ銀の親会社、日本郵政は現行1300万円の預入限度額の撤廃を政府に強力に働きかけ始めた。

 2019年に統一地方選や参議院選を控える中で、有利に働くとみた議員連盟(郵活連)も同調することで撤廃論が一気に高まり、政府の郵政民営化委員会は早々に撤廃で意見をまとめようと動いた。