あるいは、資本逃避も発生するかもしれない。中国経済の先行きを懸念した資本が中国から逃げ出し、それを見た投機家たちが人民元の先安感から人民元売りを仕掛けると、人民元相場が暴落する。

 人民元の暴落は、輸入物価の高騰を通じて、中国国内にインフレによる社会不安をもたらすかもしれない。そうなるとインフレ抑制のために金融の引き締めなどが行われ、景気のさらなる失速を招く可能性が高い。

中国発の
リーマンショックはない

 ただ、中国経済が仮に予想以上の深刻な打撃を被っても、中国の工場が他の途上国に移転するだけであれば、他の途上国の景気がよくなるので、世界経済全体としての景気は保たれるだろう。

 他の途上国の工場が立ち上がる前に中国の工場が閉じてしまうと、一時的な混乱は生じるが、供給不足は需要不足よりはるかに楽だ。

 例えばスマホや洋服の供給が減れば、値上がりはするが、買い替えを少し待つ消費者が増えるだけの話。一方で、中国企業のライバルにとっては絶好の稼ぎ時であるから、大いに稼いで工場を建設すればいい。

 中国でしか作れないようなハイテク部品があるならば、その生産が止まってしまう影響は深刻だが、仮にそうした物があるならば、その生産は万難を排して維持されると期待しよう。

 仮に、中国国内で金融システムの混乱や信用収縮(資金の貸し借りが滞ること)などが発生したとしても、人民元が手に入りにくくなるだけで、中国人以外は困らない。その意味では、リーマンショックのように、世界中に危機が伝播するようなことにはならないだろう。